私たちは、スマートフォンだけで人間の転倒をリアルタイムに検知できる人工知能アプリケーションを開発しました。本研究では、従来は高性能GPUが必要だった骨格検出・運動解析を、スマートフォン単体で完結させることに成功しています。
AIによる骨格抽出と転倒検知の仕組み
アプリでは、スマートフォンのカメラ映像から、鼻・目・耳・肩・肘・手先・腰・膝・足先の17箇所のキーポイントを検出します。これにより、被写体の全身骨格位置や姿勢を抽出し、位置や大きさに依存しない特徴量に変換。
その後、深層ニューラルネットワークが、抽出された骨格の特徴量の時系列データから、転倒の有無を識別します。
学習データと精度
研究室内で、転倒する映像と歩行映像をそれぞれ約6,000個収集。データの90%を学習用、10%を評価用としてニューラルネットワークを訓練・テストしました。
その結果、評価データに対する転倒識別の正解率は**約94%**を達成。
学習自体はワークステーションで行い、完成したモデルをiPhoneに実装。スマートフォン単体でリアルタイムに骨格検出・転倒判定が可能であることを確認しました。
従来技術との違い
従来の骨格検出・運動識別は、高性能GPUを搭載した計算機が必須でした。しかし今回の成果により、スマートフォンだけで全ての計算処理を完結させることが可能になりました。
これにより、医療や高齢者の見守り、リハビリなど、様々な現場で手軽に転倒検知や行動解析を行える基盤が整いました。
今後の展望
本アプリケーションは転倒検知だけでなく、他の行動認識AIにも応用可能です。誰もが手元のスマートフォンでリアルタイムに行動解析を行える未来を目指し、さらなる研究・開発を進めています。


