脚の引き上げ動作がランニングのスピードを左右する理由
ランニングでは「地面を強く蹴ること」が重要だと思われがちですが、実は脚を適切に引き上げる動作もスピードを生み出すために欠かせない要素です。
脚を引き上げることで、脚の位置が高くなり、位置エネルギー(高い位置にあるほど大きくなるエネルギー)が蓄えられます。この位置エネルギーは、その後脚を振り下ろす際に運動エネルギーへと変換され、地面へ加える力を高める働きをします。
地面に大きな力を加えられるほど、地面から受ける反力(地面反力)も大きくなり、その結果として推進力が向上します。つまり、適切な脚の引き上げは、効率よくスピードを生み出すための重要な動作なのです。
脚の引き上げが十分でない場合、脚の振り出しが小さくなり、ランニングフォーム全体がコンパクトになってしまいます。
その結果、
- ストライド(歩幅)が狭くなる
- 地面へ十分な力を加えられない
- 推進力が不足する
- スピードが伸びにくくなる
といった問題が起こります。
また、脚が十分に前へ運ばれないため、無理に脚を前へ出そうとしてフォームが崩れ、余計な力みや疲労につながることもあります。
適切な高さまで脚を引き上げることで、自然に大きくダイナミックなランニングフォームとなり、より効率よく前へ進めるようになります。
一方で、脚を高く引き上げれば引き上げるほど速く走れるわけではありません。
短距離走の「もも上げ」のように必要以上に脚を高く上げると、
- 引き上げに余分な時間がかかる
- 筋力やエネルギーを無駄に消費する
- ピッチ(歩数)が低下する
- ランニングリズムが乱れる
など、かえって走りの効率が悪くなることがあります。
大切なのは、「高く上げること」ではなく、自分に合った適切な角度までスムーズに引き上げることです。
自分に合った引き上げ角度を知ろう
ランナーによって、体格や筋力、走るスピードは異なります。そのため、理想的な引き上げ角度も一人ひとり違います。
感覚だけでフォームを判断するのではなく、実際に動画を撮影して確認することで、自分のフォームを客観的に分析できます。
引き上げ角度測定を活用するメリット
ランニングAPPサイトへランニング動画をアップロードすると、自分の脚の引き上げ角度を測定できます。
測定結果を活用することで、
- 現在のフォームを数値で把握できる
- 引き上げが弱すぎるのか、強すぎるのか判断できる
- フォーム改善前後の変化を比較できる
- 理想とするランナーのフォームと比較できる
など、効率的なフォーム改善につながります。

また、グラフからは左右差を確認できることも大きなメリットです。
例えば、この動画では左右の引き上げ角度に大きな差はなく、バランスよく脚を引き上げられていることが分かります。一方で、左右差が大きい場合は、フォームの癖や筋力・柔軟性のアンバランスが影響している可能性があります。左右差を把握することで、より具体的な改善ポイントを見つけることができます。
自分の課題が明確になったら、次は改善に向けたトレーニング計画を立てましょう。
脚の引き上げ動作は股関節を中心とした運動です。そのため、引き上げ角度に課題がある場合は、股関節の可動域や筋力、股関節周囲の動きの改善が重要なポイントになることが多くあります。
測定によって現状を把握し、課題に合わせたトレーニングを実践することで、より効率的なフォーム改善とパフォーマンス向上につながります。
まとめ
脚の引き上げは、単に脚を前へ運ぶ動作ではありません。
適切な高さまで脚を引き上げることで位置エネルギーを蓄え、そのエネルギーを地面へ伝えることで推進力を高め、スピードアップにつながります。
ただし、引き上げが弱すぎても強すぎても効率は低下します。
まずは自分の引き上げ角度を測定し、理想的なフォームとの差を確認してみましょう。客観的なデータを活用することが、効率的なフォーム改善への第一歩になります。
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